さらにシミュレーションを続けて先祖型から致死システムを持つ新種が誕生する確率を調べるため反復試行を行いました。

すると持続的な致死システムが形成される例がゼロではなく2%ほど存在することが確かめられました。

この結果は、先祖型の集団と差別化しようとする致死システムの出現は決して理不尽であり得ないことではなく、条件さえ適切ならば十分に出現可能であることを示しています。

もちろん、イモリたちの生息環境が激変して生存が困難になった場合、致死システムを持つ種は存続がより困難になるでしょう。

しかし増殖力だけが重要ならば、現在も地球は単細胞生物しか存在しない世界のままのはずです。

増殖力に多大な不都合がある種も、長年に渡る繁栄を享受し多様化も可能なのは、地球の環境が多様である証拠とも言えるでしょう。

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元論文

Genomic evidence suggests the balanced lethal system in Triturus newts originated in an instantaneous speciation event
https://doi.org/10.1101/2024.10.29.620207

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部