最後に研究者たちはこの結果がレーザーによる「影」と呼んでいいかを判断するために、影について以下の6つの条件を規定しました。
1:大規模な効果であること(巨視的であること)
2:肉眼で見ることができること
3:実際に物体が光を遮っていること
4:影の形が物体の形状を反映していること
5:物体の位置が動くと影も連動して動くこと
6:影が後ろにあるありふれたスクリーンの上で動くこと
そして今回の実験結果はこの6つを全て満たすとして「レーザーが光を遮り影を作ったと言える」と結論しました。
光はそれを通す媒体とは切っても切れない関係にあり、それは影も同じというわけです。
研究者たちは「この実験は影とは何かという私たちの理解を再定義するもので、適切な条件下ではレーザービームは影を落とすことができる」また「影を知ることは光を知ることでもある」と述べています。
今回の研究結果は将来的に、光で光を制御する仕組みを作る上で基礎となるでしょう。
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参考文献
Scientists Discover Lasers Can Block Light And Cast a Shadow
https://www.sciencealert.com/scientists-discover-lasers-can-block-light-and-cast-a-shadow
元論文
Shadow of a laser beam
https://doi.org/10.1364/OPTICA.534596
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部