そこで今回、オタワ大学の研究者たちは光の媒体としてルビーを使うことで、レーザー光線に影を落とさせる方法を考案しました。
実験装置は上の図(左)のように、第1の青色のレーザー光線と第2の緑色のレーザー光線をルビーの内部で直行させるように配置されています。
すると図の右に示すように、緑色のレーザーが通過した部分が青色の光を遮り、背後のスクリーンに影を落としていることが判明します。
また驚くべきことに、この様子は肉眼でも捉えることができ、緑色のレーザーを移動させると影も連動して動く様子が観察されました。
次のページでは「光が光の影を」作る仕組みを、ルビーの性質と共に解説します。
光が光の影を作る理論的説明
どうやってレーザー光線が光を遮り影を落としたのか?
先にも述べたように、光は自身が通過する媒体を仲介にすることで、別の光と相互作用を起こすことができます。
ただほとんどの媒体は、レーザー強度が高いと光の吸収を起こして飽和し透明体として働いてしまい、背景の光源よりもレーザー部分が明るく見える「光漂白」と言われる現象が発生してしまいます。
通常の媒体内部で強いレーザーで光源を放っても、周りの光源を遮るどころか効率よく光が伝わってしまい逆に「光って」見えてしまうわけです。
より簡単に言えば「光の前に光を通しても、まぶしくなるだけ」と言えるでしょう。
これでは影を作るどころではありません。
(※ライブステージでレーザーの通り道が見えるのは空気中の微粒子による光の散乱が原因であり、光漂白とは別の現象です。ただレーザーの通り道が「明るくなる」という点については同様だと言えます。)
光で光を遮りより暗い場所「影」を作るには、光漂白を起こさない特別な媒体が必要にります。