そこで研究者たちは宝石としても有名なルビーに目をつけました。
ルビーはレーザーの研究ではよく使われる材料であり、通常の媒体とは異なる奇妙な性質を持つことが知られていました。
実験ではこのルビーに対して2本のレーザー(青と緑)の出力を慎重に調節しつつ直行するように照射されました。
するとレーザーが交差する部分ではルビー内部の電子のエネルギー状態が激しく変動し、緑色のレーザーでエネルギーを与えられた電子は、青色のレーザーの光をより効率良く吸収できる現象が起こりました。
これは、ルビーの特殊なエネルギー構造と光の相互作用によって生まれる現象で、光が光の影を作る仕組みの基礎理論となります。
また生じた影の濃さを測定したところ、影のコントラストは最大で22%であり、これは晴れた日の木の陰のコントラストの値に匹敵します。