人類はすでに宇宙に進出する能力を手にしました。
宇宙に旅立っているのは現時点で宇宙飛行士や一部の富裕層だけですが、そう遠くない未来、多くの大衆にとって宇宙旅行や宇宙滞在は馴染みのものとなるかもしれません。
そうなると、宇宙空間で子宝に恵まれる夫婦やカップルも出てくると予想されます。
しかし宇宙で赤ちゃんを授かるのは簡単ではないようです。
最近、スペイン・カタルーニャ工科大学(UPC)の研究により、男性の精子は微小重力に晒されると運動機能や生存率が大きく低下することが明らかになったのです。
研究の詳細は2024年7月31日付で科学雑誌『Acta Astronautica』に掲載されています。
目次
- 宇宙空間でも正常に「妊娠」できるのか?
- 宇宙に行くと精子はぐだぐだになる?
宇宙空間でも正常に「妊娠」できるのか?
人類は今、宇宙開拓時代に入っており、月面や火星での居住計画も現実味を帯びたものとして進められています。
そのため、人類が宇宙空間に滞在する時間はこれまで以上に長くなっていくでしょう。
しかし宇宙空間は体が浮遊する微小重力環境にありますし、月面や火星にしても地球よりずっと重力が小さいです。
地球を離れる決断をした人々は(SF映画のような重力発生装置が開発されるまでは)そうした微小重力の中で暮らしていかなければなりません。
宇宙滞在が人体に及ぼす影響はすでによく知られています。
例えば、骨密度が減少したり、筋力が低下したり、心血管系に負担がかかったり、免疫系が弱まったり、さらには放射線量が高く、発がんリスクを高める可能性も指摘されています。
また慣れない空間での生活から心理的ストレスを受けて、精神疾患を発症する恐れもあるでしょう。
その一方で、宇宙空間での滞在が妊娠に与える影響はよく知られていません。