栃木イレブンのリバウンドメンタリティーも見事だったが、降格が決まっても選手のモチベーションを維持させた小林監督の手腕も賞賛されるべきだろう。ちなみに、ラスト7戦を1勝1敗5引き分けでシーズンを締めくくっており、フロントもこの手腕を評価した上での続投要請だったと思われる。

小林監督も公式サイト上で、「この責任どう取るべきかというのをずっと考えてきました」と悩んだ末の決断だったことを明かした上で、「戦術をさらに徹底して落とし込むことができれば、今シーズンの負けを引き分けに、引き分けのゲームを勝利にもっていくことができるのではないか」と、早くも視線は来季に向いている。

レンタル選手が多いが故に不確定要素も多いが、監督自身が語るように戦術を徹底させていけば、来季J3の主役を張れるだけのポテンシャルは持っている。なにせ指揮官は、過去に指導した6クラブのうち4度の昇格を達成した「昇格請負人」だ。J通算600試合を超える知将に率いられ、1年でのJ2復帰の可能性も高いのでないだろうか。


小林慶行監督 写真:Getty Images

ジェフユナイテッド千葉:小林慶行監督

評価:★★☆☆☆/続投可能性:30%

果たしてジェフユナイテッド千葉はJ1に昇格する気があるのだろうか…。そんな気持ちにさせられる最終節(対モンテディオ山形/0-4)の惨敗劇だった。

2023年、コーチから昇格する形で就任した小林慶行監督。昨2023シーズンは6位で昇格プレーオフに進出し(準決勝で東京ヴェルディに1-2敗退)、今シーズンいよいよ「オリジナル10」の復活かと感じさせたが、ラスト2戦の敗戦によって4位からプレーオフ切符すら逃した。最終戦翌日、島田亮代表取締役は「シーズン終了のご挨拶」と題し、謝罪と感謝の思いを言葉に連ねたが、監督人事には触れなかった。

2006年に日本代表に就任したイビチャ・オシム監督(2003-06)を除けば、ファン・エスナイデル監督(2017-19)、尹晶煥監督(2020-22)と3年毎に監督を代えてきた千葉。前例に従えば、小林監督にもう1年猶予があってもいいだろう。前述2監督よりも好成績を上げているのも事実だ。天皇杯でもJ1のFC東京を破る下剋上を演出した。