武藤監督自身は、2010年の南アフリカW杯で日本代表のテクニカルスタッフを務め、2012年にはロンドン五輪ではU-23日本代表のアシスタントコーチも務めた実績もある指揮官だったが、就任当時既に崩壊状態にあったチームを救うことはできなかった。昨2023シーズン、一時期は昇格プレーオフ争いしたとあって期待されて臨んだものの、結果的にはサポーターを落胆させる結果となった。
既に武藤監督の退任が発表されているが、次期監督選び次第ではJ3を戦う来シーズンも苦戦するだろう。群馬の人件費は3億円を少し超える程度で、これはJ3に入っても4~5番目の数字だ。ここを増やせない限り、J3に定着してしまう可能性も高い。
今季限りで20年の現役生活にピリオドを打った地元出身のMF細貝萌が、来季、社長代行兼GM(ゼネラルマネジャー)に就任する人事が発表されたが、クラブのバンディエラである彼にこの重責を負わせざるを得ない事実こそ、群馬が迷走している証拠なのではないか。
栃木SC:小林伸二監督
評価:★★★☆☆/続投可能性:100%
田中誠監督と柳下正明ヘッドコーチの新体制でスタートを切った2024シーズンの栃木SC。しかし、守備陣が崩壊し、第15節終了時点で3勝9敗3引き分けの19位に沈み、5月14日に揃って解任。後を引き継いだのが、大分トリニータ(2001-02)、セレッソ大阪(2003-06)、モンテディオ山形(2008-11)、ヴォルティス徳島(2012-15) 、清水エスパルス(2016-17)、ギラヴァンツ北九州(2019-23)とJでの指導歴が豊富な小林伸二監督だ。
それでもなかなか勝ち星に恵まれない日々が続いたが、徐々に守備に改善が見られ、7ゴールを記録したFW南野遥海を中心に、点も取れるチームを作り上げていった。10月27日の第36節清水戦(カンセキスタジアムとちぎ)では、清水のJ1昇格を見届けると同時に8シーズンぶりのJ3降格が決まってしまうという憂き目に遭ったが、翌週11月3日第37節の横浜FC戦(ニッパツ三ツ沢競技場)では、スコアレスドローに持ち込んだことで相手のJ1昇格を阻み、意地を見せた。