しかし、いきなり開幕3連敗。3月30日の第7節群馬戦(鳴門大塚ポカリスエットスタジアム)で敗れると、ゴール裏のサポーターの怒りが爆発。試合後にも居座り社長に謝罪させた挙げ句、クラブ側もサポーターに言われるがまま、その翌日、吉田監督と岡田明彦強化本部長の退任を発表する。怒りの末に我を失ったサポーターの要求を“丸飲み”した形の前代未聞の人事は、Jリーグ全体にも影響を及ぼしかねない悪しき前例となってしまう。

その後を継いだのがプロ初指導となるヘッドコーチの増田功作監督だ。付け焼刃人事とは思えない手腕を見せ、最終的に8位まで順位を押し上げた。

しかしその間、MF島川俊郎の突然の現役引退(その後、台湾社会人甲級リーグ「台中FUTURO」に加入)やMF西谷和希が練習参加を拒否し契約解除、J3ツエーゲン金沢への移籍といった主力の流出が続き、サポーターから「一体、ヴォルティス内部で何が起きているのか…」と心配の声が上がった。

この混乱はシーズン終了後も続く。最終節を前に増田監督の続投が発表されると同時に、クラブの顔で唯一の日本代表経験者だったFW柿谷曜一朗の退団や、谷池洋平強化部長の退任も明らかとなる。この決断は誰によるものなのか、黒部光昭強化本部長は増田監督の手腕を評価したことを公式サイトで明かしたが、柿谷の退団などの核心には触れなかった。

一部では、吉田監督時代から“吉田派閥”と“反乱分子”に二分されていたとも噂されていた徳島。この人事が“吉田派の一掃”なのだとすれば、来季結果を残さなければ、サポーターの怒りの矛先は黒部強化本部長と増田監督に向かうのは必至だ。徳島フロントは自ら、茨の道を選んだと言えよう。


石丸清隆監督 写真:Getty Images

愛媛FC:石丸清隆監督

評価:★★☆☆☆/続投可能性:30%

2013シーズンから2014シーズンに愛媛FCを指揮し、2022シーズンに8年ぶりに戻ってきた石丸清隆監督。3年目となる今季は、ラスト11戦勝ちなしで、J2残留ギリギリの17位に終わった。