特に興味深かったのは、精神病質の強い人が自らの信念に固執し続ける傾向は、痛みの罰則がない状況では起こらなかったことです。

どういうことか?

つまり、前半160回のセッションにおける「金銭的ペナルティ」が与えられた場合は、お金を得るために自らの考えを反省して変更したのですが、後半160回のセッションにおける「電気ショック」が与えられる場合は、痛みの罰則を無視して自らの考えに固執したのです。

このことからサイコパスに見られる「自らの過ちを反省しない学習障害」は、痛みを伴う経験に特有のものである可能性が示されました。

要するに、サイコパスを反省させようと痛みの罰則を与えても、効果が期待できないだろうということです。

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サイコパスは「痛み」では反省しない? / Credit: canva

以上の結果からチームの仮説通り、サイコパスは痛みに鈍感であるがゆえに間違いや罰則から学ばず、自分の誤った考えや行動を修正しない可能性があることが支持されました。

痛みの感受性の低さがサイコパスをして、反社会的な行動に駆り立てやすくしているのかもしれません。

ただしチームは、今回の調査が何の犯罪も犯していない一般集団を対象としたもので、極端な精神病質特性を持つ犯罪者は対象としていないため、同じ結果を犯罪者集団に一般化することはまだできないと注意しています。

チームは次のステップとして、精神病質が強いほど痛みに鈍感になる脳メカニズムの解明を目指していくとのこと。

それにより、精神病質者における反社会行動を抑制できるような治療のヒントが得られるかもしれません。

サイコパスの人は「会話中に頭をほとんど動かさない」傾向がある!

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参考文献

People with psychopathic traits fail to learn from painful outcomes
https://www.psypost.org/people-with-psychopathic-traits-fail-to-learn-from-painful-outcomes/