その結果、事前の予想通り、痛みへの感受性が低い参加者ほど、精神病質(サイコパシー)の特性が強いことが確認されました。
そして次に、参加者が痛みを通じて自らの信念や学習をどのように変えるかを評価するテストを行います。
ここで参加者は一種のコンピューターゲームとして、画面上に提示される2色のカード(緑と黄)から1枚を選ぶよう指示されました(下図の左を参照)。
2枚のカードは当たりかハズレに設定されており、参加者がいずれかのカードを選択するたびに、金銭の報酬か罰則が与えられるようになっています。
全部で320回のカード選択セッションを行いますが、前半160回は当たりの場合に金銭の報酬を受け、ハズレの場合には金銭を失うペナルティーを受けます。
後半160回は当たりの場合に金銭の報酬を受けますが、ハズレの場合には電気ショックの痛みを受けました。
このゲームでは、参加者がカード選択における当たり・ハズレの確率を推測できるような法則は設定されておらず、研究者らはただ、参加者が罰則を受けたときに自らの意思をどのように変えるかのみに焦点を当てています。
例えば、参加者が緑色のカードを3回連続して選んで3回とも当たりだったが、4回目に選ぶとハズレだった場合、緑色のカードを選び続けるのか、あるいは黄色のカードに変更するのか、などです。
そしてデータ分析の結果、精神病質の特性が低かった人は金銭的ペナルティや痛みを受けた後に、自らの選択を変える可能性が高かったのに反し、精神病質の特性が高かった人は痛みを伴う結果を受けても、それを無視し、自分の信念に固執する傾向が強いことが明らかになりました。