私たちは誰でも自分の未熟さゆえに、しばしば「バカ」をします。
例えば、腹が立って思わず壁を思い切り殴りつけも、手に激痛が走ってケガしてしまうだけです。
私たちはこうした”痛み”の経験を通して「もう腹が立っても二度と物には当たるまい」と学習し、成長していきます。
ところがサイコパスは違うようです。
オランダ・ラドバウド大学(Radboud University)の心理学研究により、サイコパス特性が強い人ほど、痛みに対して鈍感であり、痛みを通した学習をしなくなることが明らかになりました。
これはサイコパスが痛みを伴う罰を受けても反省せず、自らの行動を改善しない理由を説明する可能性があります。
研究の詳細は2024年9月14日付で心理学雑誌『Communications Psychology』に掲載されています。
目次
- サイコパスが反省しないのは「痛み」に鈍感なせい?
- 精神病質の特性が強い人ほど、痛みから学習しなかった!
サイコパスが反省しないのは「痛み」に鈍感なせい?
サイコパスは、日本語で精神病質(psychopathy)とも表現される心理特性を指します。
サイコパスの主な特徴としては、
・感情が希薄で、他者への共感能力が低い
・行動が衝動的で、社会のルールに従わない
・平気で嘘をつき、他人をすぐに騙す
・自責の念が欠如しており、過ちは周囲のせいにして、人を支配しようとする
などがあります。
そしてもう一つ、精神病質の大きな特徴として挙げられるのが「間違いや罰則から学ばず、自分の誤った考えや行動を修正しない」ことです。
しかしなぜサイコパスが自らの過ちから学習できないのか、そのメカニズムはよくわかっていません。
そんな中、研究チームはある一つの仮説を立てました。
それは「サイコパスが痛みに対して鈍感であるために、自らの過ちを正そうとする意思決定が阻害されているのかもしれない」というものです。