「3つ」「誰でも理解が同じ」
ーーーどのような発想で、ポジティブ3Kを掲げるに至ったのでしょうか?
若山:そもそも人間の頭って、物事を一気に覚えるのは3個までが限界なんですよ! 5個や6個も目標を並べられても、いざというときに全部思い出せないと思うんですよね。
見学に来られた「5S」を推進されている社長さんたちですら、「5つすべて言ってください」と言うと、ほとんど答えられません。
しかも、推進しているリーダーである社長ですら「整理」ってどういう意味なのか説明できない。つまり、今までリーダーである自分自身が理解していない言葉を使って、社員さんにそれをやってくれと頼んでいたわけなんです。これではうまくいくはずがありません。
ワカヤマの工場でめっきされたメガネたち。一日に数千枚が出荷される
ほかにも、社員が「どのように行動すれば良いのか?」が伝わらない内容だと、どんな素晴らしい言葉を並べても、目標を掲げている意味がありません。「生産性向上を目指そう」などが良い例です。
そのようなケースを避けるためにも、「3つ」「誰でも理解が同じ」を意識した言葉としてポジティブ3Kが生まれました。
ーーーポジティブ3Kを掲げてから、どのような効果がありましたか?
若山:私がいなくても、会社が回るようになりました(笑)。
いままでは、出張に出かけても1時間おきに会社から電話がかかってくるような状態でしたし、私が会社にいないと会社全体の歩みもストップしてしまうような不安が常にありました。
しかし、社員それぞれが自主的に物事を考え、前向きに仕事をするようになったいま、その心配は完全に消えています。
例えば、私が海外へ出張に行っているあいだに、いつの間にか大きな売上が立っているケースは珍しくありません。実際に、ポジティブ3Kを掲げるようになってから、会社全体の業績は2倍以上に上昇しています。