「小上がりスペースのある休憩所」若山さんが社長就任後に会長(父)の反対を押し切りリニューアル。「きれい」になった結果、その翌年の入社希望者が増加したといいます。

ーーー「かんたん」についても気になります。

若山:「かんたん」は「仕事をいまよりもシンプルにできる方法はないかな?」と、考えさせてくれる言葉です。

今までは、”生産性を向上させよう”と伝えていたのですが、社員さんたちには結局何をして欲しいのか伝わってなかった。でも、「かんたん」を掲げてからは、小さなことでも少しずつ改善が進んでいき、皆も自信がついてきたようです。

例えば、長く使い続けて切れ味が落ちたハサミを、不便だと思いながらも「そこにあるから」と使い続けているケースはないでしょうか。

「かんたん」を意識すれば、新しいハサミを使えばグッと効率がアップするなど、とても小さなことかもしれませんが、そういった効率化に社員それぞれがどんどん気付けるようになるのです。


メガネ枠にメッキを施す作業風景

とはいえ、仕事の効率化というものは、知識や経験をもとにして初めて「かんたん」を導き出せる場合が多くあるでしょう。そのため、まず社員には「きれい」を意識しつつ、徐々に「かんたん」を取り入れていってもらえるように話しています。

ーーー「きもちいい」についてもぜひお聞きしたいです。

若山:仕事をしていくなかで、いまやっていることは「きもちいい」のか? という視点で物事を捉えると、働くのが楽しくなるんです!

例えば、電気の消し忘れがあったとき「誰のせい?」と追求しなければならないのは、気持ちがよくありませんよね。だから私たちは、「きもちいい」状態にするために、消し忘れの多い渡り廊下の電気を人感センサーに変更しました。

ほかにも、ワカヤマの社員は、お客様との対話のなかでも「きもちいい」を常に探っています。

“自分だけが得をしていないか?” “お客様も一緒に笑っていられるような取引ができているか?”など、「きもちいい」を基準にするだけで、自然と周囲との関係が良好になっていくんです。