従来の携帯電話とは違って、QWERTY配列キーボードが搭載されていたことも大きな特徴でした。

ビジネスマンたちは、オフィスでパソコンを打っているかのように、携帯端末でメールを打てることを喜んだのです。

一時期アメリカでは、当時のスマホ利用者の約37%がBlackBerryユーザーであるほど人気を博し、日本でも4000社ほどがBlackBerryを導入しました。

しかし、雲行きが怪しくなったのは2007年、iPhoneの登場でした。

iPhoneのタッチスクリーンは、ビジネスマンだけでなく、一般ユーザーの心をつかむことに成功し、物理ボタンに頼ったBlackBerryを徐々に追い込んでいったのです。

様々な企業もタッチスクリーンを利用したスマホを開発し、2011年には、AndroidとiPhoneのユーザー数がどちらもBlackberryのユーザー数を追い抜くことに。今やBlackberryは見る影もありません。

一世を風靡したBlackberryは、物理ボタンと共にあっという間に時代遅れになってしまったのです。

そして、携帯電話以外の様々な分野で、似たような現象が生じました。

冷蔵庫やコーヒーメーカーなどの家電製品、そして車などから物理ボタンが徐々に無くなっていき、「ボタンの終焉」に関するニュースや話題が盛んに取り上げられるようになりました。

タッチスクリーンが普及し始めた当時、多くの人々は、「物理ボタンに頼らない新たな時代が来る」と感じていました。

しかし現在、初代iPhoneが登場してから17年が経った今でも、物理ボタンは世の中から完全には無くなっていません。

それどころから、復活の兆しを見せています。

「物理ボタンの復活」とその理由

物理ボタンの歴史について研究しているインディアナ大学ブルーミントン校(Indiana University Bloomington)のレイチェル・プロトニック氏は、タッチスクリーンと物理ボタンについて、次のように語っています。