同大使は、「ゼレンスキー大統領はキーウでショルツ首相を迎えることができれば幸いと答えている。ウクライナが必要なのは象徴的な訪問よりドイツ政府がウクライナへの重火器供給を早急に実施し、約束を果たしてくれることだ」と述べ、ドイツ側が約束したゲパード対空戦車の弾薬がまだ見つかっていないことを批判した、といった具合だ。

駐独ウクライナ大使の一連の外交官らしくない言動に対し、忍耐強いドイツ国民の中にもキレる人が出てきた。「大使はもう少し発言を慎むべきだ」、「支援を受けていて文句をいうとは何事だ」という怒りの声すら聞かれ出した。

欧米諸国のウクライナ支援、特に重火器供給が急務となっている時、欧州の盟主ドイツとウクライナとの関係が険悪化することは危険だ。双方は意思疎通を図ると共に、その言動には注意を払う必要がある。「戦時」の発言は「平時」の時より慎重であるべきだ。間違った判断や配慮の無い発言は国民の命にもかかわるからだ。

文・長谷川 良

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2022年5月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

文・長谷川 良/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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