ウクライナのゼレンスキー大統領は24日、国内のモスクワ寄りのウクライナ正教会(UOK)の禁止に関連する文書に署名した。同大統領は「これによってウクライナ正教会はモスクワへの依存から守られる。独立している国は精神的にも独立しているべきだ。キーウのメトロポリタンであるオヌフリイ府主教が率いる教会は、ロシア正教会との関係を解消しておらず、ロシアの侵略戦争においてウクライナ内でモスクワの影響力を行使する手段となっている」と指摘している。それ先立ち、ウクライナ議会は今月20日、圧倒的多数でモスクワ総主教庁と関連するUOKを禁止する法案を可決している。
ただし、法律が施行されてから最短で9カ月後に、裁判所は個々の教区や他の宗教組織がロシアとつながりがあるかどうかを申請に基づいて審査し、場合によってはそれらを禁止することができる。UOK全体は法人格を持たないため、単一の裁判で完全に解散させることはできないという。キーウ政府は、コンスタンティノープルの全地総主教バルトロメオス1世の支援を受けて、5年以上前に設立されたウクライナ正教会(OKU)を支持している。最新の調査によれば、OKUの教会を信仰している国民はUOKよりもはるかに多いという。
ウクライナ側の今回の決定に対し、UOK側は「教会は2022年5月にモスクワ総主教庁からの独立を宣言している」として、モスクワ寄りという非難を否定している。UOKのスポークスマンは「新しい法律は憲法違反であり、ウクライナが欧州連合(EU)に加盟するために遵守しなければならないいくつかの国際協定にも反している」と批判している。
また、セルビア正教会のポルフィリイェ総主教は23日、「キーウの立法者がウクライナ正教会(UOK)を禁止しようとしていることに大きな憤りを感じる」と表明する一方、UOKの首長であるメトロポリタン・オヌフリイ府主教への手紙の中で、姉妹教会に対する支援を約束している。ポルフィリイェ総主教は、セルビア教会の活動が第二次世界大戦中に露骨な全体主義の傀儡政権によって禁止され、迫害された経験に言及し、「ウクライナの姉妹教会は、自国民から成るいわゆる民主的な政府によって迫害されており、そのために状況は難しく、比較にならないほど不条理だ」と述べ、キーウ政府に決定の撤回を求めている。