多数の植物を調べることができれば、耐性と成長能力の関係が植物全体に存在している可能性が高くなるからです。
すると耐性遺伝子の数が植物間で著しく異なっており、44から2256個の範囲にあることが判明。
たとえば先に述べたアスパラガスの場合は耐性遺伝子が72個であるのに対し、唐辛子のある品種では1095個もの耐性遺伝子を持っていました。
また耐性遺伝子と植物たちの成長特性を比較したところ、耐性遺伝子の数が多い植物ほど成長能力が低いことが判明しました。
このことから研究者たちは耐性遺伝子数と成長能力の間の負の相関は植物全体にみられる現象だと結論しました。
さらに研究者たちはこのような負の相関が起こる理由として特性の「割り当てコスト」が存在することを指摘しています。
個々の耐性遺伝子には採用するためにある種のコストを支払う必要があり、その負担が成長能力を鈍らせているわけです。
というのも、耐性遺伝子を活性化させ耐性を獲得するには、当然ながらエネルギーが必要になります。
また耐性遺伝子はウイルスや細菌と戦うための仕組みであり、植物の成長にはあまり寄与しません。
そのため耐性遺伝子を持ち過ぎた場合、耐性機構に多大なエネルギーを吸い取られ、結果として植物の成長能力が犠牲になってしまうのです。
これをあえてゲーム風のシステムに落とし込めば「耐性」能力を維持するためにキャラの成長に必要な経験値を消費してしまっている……という仕組みが動いていると言えるでしょう。
植物たちは自らに与えられた可能性をもとにさまざまな遺伝子を獲得したり失ったりしながら多様性を築き上げてきたのです。