これは、吸血コウモリがアミノ酸をほぼ瞬時にエネルギーに変換できることを示しています。
蚊などの昆虫が血液中のアミノ酸を代謝するのに長い時間を要することを考えると、これは驚きの結果だと言えます。
また、吸血コウモリでは、必須アミノ酸(ロイシン)も非必須アミノ酸(グリシン)も、効率的にエネルギーに代謝できることが分かりました。
吸血コウモリの小さな体は、与えられたアミノ酸が何であれ、それを最大限活用できるのです。
研究に関わっていないある科学者は、10分未満でアミノ酸を代謝する吸血コウモリの能力に関して、「哺乳類では前例のない」発見だと述べています。
この点に関して、研究チームは、「吸血コウモリは、摂取した大量の燃料(血液から得られるタンパク質やアミノ酸)を効率的に利用するために、このメカニズムを発達させた」と考えています。
ただし吸血コウモリは、血液から得られるタンパク質を効率的にエネルギーとして利用することに特化したことで、脂肪の蓄積や貯蔵能力が低下していおり、空腹状態に長く耐えられないという欠点があります。
それゆえ飢餓に弱く、血を吸えない日が続くと、すぐに命に危険が生じてしまいます。
この欠点を補うため、群れで生活する吸血コウモリたちは、血をたくさん吸った後、お腹を空かせた仲間に対して、血を吐き戻して与えることもあるのです。
吸血コウモリが飛べなくなるまで血をたくさん吸うことには、彼らなりの大切な理由があったのです。
この時、吸血コウモリが歩いたり走ったりできる能力が役立っています。
今回、吸血コウモリをランニングマシンで走らせるという興味深い実験から、彼らの特殊な代謝メカニズムが明らかになりました。