そして、トランプ大統領が当選した。
すでに二年半にわたって、ロシア・ウクライナ戦争は、ウクライナの最大の支援国であり生命線であるアメリカの大統領選挙の予定に翻弄されて、動いてきた。
だが今や、結果は出た。確定した結果の現実をふまえて、次の政策を明らかにして、進めていかなければならない時期になった。ウクライナ政府だけの話ではない。日本政府も同じだ。
峠を越えた後の過去半年余りのウクライナの行動は、負の遺産となって戦場に影響が及ぶ。それをどう処理していくか、も真剣に考えなければならない。具体的には、一人でも多くの兵士を生存させるためのクルスクからの撤退だ。そして東部戦線でのロシア軍の進撃を止めることだ。
残念ながら、非常に困難な課題になってしまっている。しかしトランプ氏は突然に豹変したりしないだろうか、といった夢物語をSNSで発信しているだけでは、現実はただ悪化していく一方だ。
もし現実を直視することを拒絶し、あああとせめて2カ月だけでもいいので現実から乖離した夢を見させてくれ、といった無責任な態度を取り続けるのであれば、そのことがもたらす災厄は、さらにいっそう甚大になる恐れがある。
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「篠田英朗国際情勢分析チャンネル」(ニコニコチャンネルプラス)で、月2回の頻度で、国際情勢の分析を行っています。