トランプは、たしかにアメリカを長年にわたって支配してきたエリートたちに公然と反旗を翻し、勝利を収めました。しかし、この勝利は偉大な業績と言えるものでしょうか?

トランプが開けた風穴から噴出してきたのは、エリートと大衆が対等に渡り合う社会ではなく、圧倒的な軍事力を持つ集団が、抵抗する手段のない女性や子どもたちを虐殺することに拍手喝采を送る社会でした。

私の連想は一挙に70~80年前に飛びます。

当時、娯楽の少ない小さな町では黒人をリンチで殺すことが、大きな社会的イベントでした。地方紙は処刑日時を何度も宣伝し、当日は「善男善女」が集まって記念写真を撮り、その写真を絵はがきにして大量頒布までしていたのです。

私がトランプ・ラリーの参加者たちにうかがいたいのは「あなたたちは、当時のアメリカ庶民に比べて、ほんのちょっとでも倫理性においてマシになっているのか」ということです。

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編集部より:この記事は増田悦佐氏のブログ「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」2024年11月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」をご覧ください。