次にこのエリート集団の中でもダーティ・ダズン(汚い1ダース)と呼ばれるアメリカ中でもとくに格式の高い12大学の卒業生を集めると、統制経済志向がさらに強まります。
エリート以外の有権者のあいだでは「自由が過剰に保証されている」と答えたのはわずか16%ですが、1%エリート全体ではその数字が47%に上がり、さらに1%エリートの中の一流12大学卒業生になると55%と過半数になります。
一流12大学卒業生以外にも、1%エリートからさらに絞りこむ定義がありまして、たんに「自分はエリートだ」と自覚しているだけではなく、「自分はエリート主義者だ」と自覚している人たちになると、この比率はさらに上昇します。
「自分が大衆を導いてやらなければ、いったいだれが責任を持って大衆を導けるのか」といった余計なお世話が信念に凝り固まってしまった人たちですから「現代アメリカ社会には過剰な自由が氾濫している」と見る人が69%に達するのも自然な成り行きでしょう。
露骨な大衆操作主義1%エリートたちの特徴として、最近一般大衆のあいだではめっきり人気が薄れている専門家集団に対する信頼が高いことも挙げられます。
まず、上段は専門家集団の中でもとくに私たちの生活に大きな影響を及ぼす政府に対する信頼ですが、有権者一般のあいだではニクソン政権末期のウォーターゲート事件の頃50%を割りこみ最近では20%前後に下がっています。
中段は同じ折れ線の背景にどんどん肥大化していった連邦政府や州政府の権限が置かれています。どうやら、有権者一般は政府が大きくなればなるほど政府に対する信頼を失うようです。
下段は同じ折れ線にこんどは1%エリートたちのあいだでの政府への信頼を重ねたものです。こちらは政府の権限が肥大化するに連れてエリートたちの政府への信頼も上昇することを示しています。
そこはもう、政府が肥大化するに連れて自分たちエリートにも地位も名誉も高額報酬もついてくる重要な役職に就く機会も増えるので当然でしょう。まあ、エリートの方々は「我々がさまざまな分野で重責を担っているからこそ、社会は着実に進歩しているのだ」と実証的な根拠を探すのはむずかしそうなことをおっしゃるのでしょうが。