もともと、ジェローム・パウエルは1期目のトランプが選んだFed議長なのですが、その理由はどうやら最近は金融業界のトップクラスには民主党リベラル派支持者が多く、その中で珍しくなってきた共和党支持者だということで選んだ形跡が濃厚です。
ところがジェローム・パウエルは支持政党は共和党でも、民主党リベラル派同様にエリート意識の高い人で、「前例のない」という意味のunprecedentedということばを、unpresidented(大統領になったことがない?)とつづってしまうような教養のないトランプを毛嫌いしています。
それだけではなく、トランプは自分の政策についてスタッフより平凡な民間人として暮らしている人たちの意向を重視するところがあります。これが「しっかりとした論理を構築した政策ではなく、大衆におもねる政策を採りがちだ」としてまさに典型的なエリート金融マンであるパウエルには我慢ができなかったのでしょう。
アメリカのエリート主義者たちには、圧倒的な多数が民主党リベラル派支持だという特徴があります。そして、日本ではfreeもliberalも同じように「自由」と訳すために、リベラル派は自由放任的な政策を好む人たちだろうという思いこみがあります。
ところが、一般論としてリベラル派は自由放任どころか、上からの政策で大衆を教え導くことを自分たちの当然の責務と考えていて、統制経済論者が圧倒的に多いのです。ここでアメリカにおける上から1%のエリートたちの生態を考察してみたいと思います。
1%エリートのうち半数近い47%が統制経済色の濃いバーニー・サンダースの支持者です。そして4分の3近い73%が民主党に属するか、民主党を支持しています。いわゆる多様性、平等性、包括性(Diversity, Equity, Inclusion、DEI)を熱心に支持していますが、自分たちの86%は白人です。まあ、高額所得者を集めれば自然に白人比率は高くなりますが。