筆者は、多くの方々の海外移住をサポートしています。お手伝いしている移住者は、経済的自由を得て早期リタイアした「FIRE」の方々、フリーランスの仕事をしている方々、スモールビジネス経営者の方々です。

では、彼らの移住先としてお勧めしたい国はどこでしょうか?

miniseries/iStock

移住先候補を香港・シンガポール・タイ・マレーシアに絞って比較してみる

最初に、欧米は除外します。

エキサイティングなアメリカ合衆国、歴史と伝統のヨーロッパなど、欧米に憧れる人は多いのですが、移住先としてはハードルが高いと思われます。

第一の理由は、長期ビザの取得が難しいことです。たしかに、その国の金融商品や不動産に投資することでビザを取得できる国はいくつかありますが、多くの国では長期ビザの取得は簡単ではありません。

第二の理由は、日本とライフスタイルが大きく異なることです。街のあちこちにコンビニエンスストアがあり、ひとりでも気楽に外食できる店が多い日本のような環境は期待できません。ヨーロッパなど、日曜日には閉まっている店だらけです。

私自身、わずか1年ですが、イギリスのオックスフォードに住んでいました。私の場合は大学院で勉強するという明確な目的があったからよかったのですが、こうした目的がなかったら、退屈していたと思います。

同じく環境の違いという理由では、アフリカ・中南米・インド以西のアジアも除外しましょう。こうした国々はエキサイティングで楽しそうですが、初めての移住先としては、あらゆる意味でハードルが高いでしょう。

以上の理由から、初めての移住先としては東アジア~東南アジアをお勧めしたいと思います。さらに、ビザの取りやすさ、英語の通じやすさ、日本人居住者の多さなどを考慮すると、香港、シンガポール、タイの首都バンコク、マレーシアの首都クアラルンプールでの4つの都市が候補となります。

① 香港

香港は、日本からいちばん近いタックスヘイブンです。法人税率は16.5%(200万香港ドル=約4,000万円までの利益については8.25%)、個人所得税率は最高17%、金融所得に非課税、相続税・贈与税なし等、魅力的な税制です。