ところが2012年の総選挙で「日本維新の会」が国政に進出した。この維新の会の登場で、公明党は大阪などでかなり票を失ったし、その後の国民民主党やれいわ新選組の登場でも、影響をそれなりに受けている。
「比例は公明に」の声にも元気なくまた、今回の数値が自民党への不信の巻き添えなのかといえば、それでかなり説明できる。
上記の歴代選挙の数字をみると、民主党政権が誕生した2012年のときは、公明党への比例代表での得票率は13.2%減っており、今回は前回から12.38%減っているのだから、ほぼ同等である。
今回はもともと自民党支持だった層のかなりが、第一に裏金問題への対処の甘さに不満で、第二には自民党の票を減らして石破茂首相に退陣を迫りたいがゆえに、もっとも大きくは国民民主、さらに参政党、日本保守党、さらには維新や立憲民主党に流れたとみられる。
自公政権は維持したいが自民党には懲罰を加えたいから公明にという人もいないわけではなかったが少数だった。もちろん、重複比例の対象にならなかった裏金議員で公明への投票を呼びかけた人もいないわけではなかったが、それよりは、これまでは小選挙区で当選することに自信がある議員が、「比例は公明」といっていたのが、自分が比例で救済される可能性を考えて、「比例も自民」だったケースが多かったように見えた。
また、公明党支持者が比例での投票を呼びかけても、自民と組んでいる公明には投票したくないと説得に応じない人も多かった。
小選挙区での敗北の裏事情議席では、2009年の時は、31議席から21議席に減少し、とくに小選挙区では太田昭広代表をはじめ、8議席すべてを失ったのだから、今回はそれよりはかなりましなほうだ。
その意味では、自公連立政権での地道は活躍や、政治改革について厳しい提案をして実現したことも意味がなかったわけでない。
また、大阪の4選挙区については、大阪市議会での協力関係をふまえて自民党のみならず維新も候補者を立てなかったもとでの議席だった。やはり裏金問題がなかったとしても、維新が対立候補を立てたら、少なくとも、2つの選挙区では極めて不利だっただろうし、残りも微妙だった。