後半、攻勢を強めようとする横浜FCだったが、単調な攻撃に終始し、得点どころか山口のカウンターを浴びるシーンも見られる。四方田監督が動いたのは後半21分。前節に先発復帰を果たしたFW室井彗佑を投入し打開を図るが、試合は膠着状態となっていく。
そして後半35分、指揮官は左ウイングのMF武田英二郎に代えて、DF中村拓海をピッチに送り込み、“引き分けOK”の采配に切り替える。そして何とかスコアレスドローに持ち込み、同時刻に愛媛FCを5-2で粉砕した3位のV・ファーレン長崎の猛追を凌ぎ、勝ち点差「1」でJ1昇格を勝ち取った。
ラスト4戦未勝利というスッキリしない形だったものの、この順位は長いシーズンの積み重ねの結果だ。加えて、終了間際の横浜FCイレブンのなりふり構わず昇格に懸ける執念のプレーには目を見張るものがあった。
昨2023シーズンたった「1」だった降格枠に入り、3度目のJ2降格の憂き目に遭った横浜FC。しかし、四方田監督が就任した2022シーズンと同様、1年でのJ1復帰を成し遂げてみせた。就任3年で2度の昇格に導いた四方田監督の続投は既定路線だろう。4年目突入となれば、クラブ史上最長を更新する。
DF福森晃斗の動向が大きなウエイト
気になるのは来2025シーズンの横浜FCの陣容だが、前節終了時点でJ2では圧倒的な14アシストを記録しているDF福森晃斗の動向が大きなウエイトを占めている。最終節でもFK、CKのシーンでは、その存在だけで山口イレブンの脅威となっていた。
レンタル元である北海道コンサドーレ札幌での福森は、2022、2023シーズンにわたり先発から外れることも多かった事情もあったとはいえ、その正確無比な左足は大きな武器だったはず。その札幌が現在、第34節終了時点で19位と、J1残留へ危機的状況にあることからも、その穴の大きさが分かる。