次にバルト海では、深さ6800メートルもの先カンブリア時代の花崗岩層から石油が発見されました。
この地域では、アルカンなどの炭化水素が豊富に含まれているビチューメン(天然の石油物質)が採掘されており、さらに深度8000メートルでも油浸火成岩(マントルから流れ出た石油や天然ガスの浸透を受けた火成岩)が見つかっています。
この現象は、火成岩の隙間や割れ目に石油が浸透し、そこに蓄積されることによって起こります。
生物起源説では、この石油がどこから来たのかは依然として謎です。
ウクライナでも、先カンブリア時代の地層から液体の原油が見つかっています。
この地域では、結晶質岩盤に石油が含まれており、深さ380メートルから900メートルにかけて採取された岩石にはメタンも豊富に含まれていることが確認されています。
これらの先カンブリア時代の地層からの発見は、石油が必ずしも生物由来でない可能性を示唆しています。
堆積岩が存在しないにも関わらず、豊富な石油と天然ガスが発見されるという現象は、従来の生物起源説では説明できません。
このことは、石油が地球の深部、マントルから生まれた無機的な産物である可能性を強く示しています。
もしこの仮説が正しければ、地球にはまだまだ私たちが知らない石油が無尽蔵に眠っているかもしれません。
無機起源説の意義と将来展望
石油の無機起源説は、従来の石油資源に関する考え方を大きく変える可能性を秘めています。
生物起源説では、石油は有限の資源であり、いずれ枯渇するとされていますが、無機起源説によれば、石油は現在も地球内部から供給され続けるため、地球が存続する限り無尽蔵であるということになります。
また、無機起源説に基づく探査技術が進展すれば、従来の油田では見つけられなかった新しい油田やガス田を発見できる可能性も高まります。
これにより、エネルギー資源の安定供給が可能になり、世界のエネルギー問題に対する解決策となるかもしれません。