地殻に深い断層や割れ目が存在する場合、マントル内にある高圧の炭化水素を含む流体がその割れ目を通じて上昇し、地表に近い場所で蓄積されるとされています。
この理論を支持する証拠の一つが、カナダのアルバータ州やアメリカのコロラド州にある巨大なガス田です。
これらのガス田は、地質学的に生物起源のガス田とは異なり、深部から直接供給されたガスが蓄積していると考えられています。
さらに、石油や天然ガスが生物起源説であるという常識を覆す新たな証拠が、地球最古の地層から次々と発見されています。
それは「先カンブリア時代の楯状地(たてじょうち)」です。
この楯状地の地層は、先カンブリア時代の結晶片岩、片麻岩、花崗岩等から構成されています。
この古代の岩盤から発見される豊富な石油と天然ガスは、一体どこから来たのでしょうか。
先カンブリア時代とは、およそ5億4100万年以上前の時代で、生物の化石がほとんど残っていない時代です。
生物起源説では、石油のほとんどがジュラ紀から白亜紀(約2億年前~6千万年前)に生成されたとしています。
つまり、先カンブリア時代に石油や天然ガスが存在するのは、従来の「生物起源説」では説明がつかない現象なのです。
では、実際にどのような場所で発見されているのでしょうか。
さっそく、世界各地の「先カンブリア時代の楯状地」で見つかった石油と天然ガスの存在状況を確認していきましょう。
まずは、南アフリカのカープバル・クレートンにある古代の火成岩と変成岩には、驚くほど豊富な天然ガスが存在しています。
なんと1958年までに、鉱山の中で190回以上もの炭化水素ガスの爆発が記録されていたのです。
さらに、ウガンダのアルバート湖周辺では、巨大な油田が発見されており、その石油資源は210万トンにも上ります。
周辺には「石油のもと」となる堆積岩は見つかっておらず、この石油の起源は謎のままです。