共産党は今回、立憲民主党との協力を解消し多くの小選挙区に候補者を立てたので、彼らが街頭で演説する分、PR力は上がったはずだ。それが組織力で遥かに劣るれいわの後塵を拝したとなると、ちょい前まで「いま、マルクス再読がブーム!」とか煽られてたのは何なのという気になる。

とはいえ、もし「選挙がチンドン屋でなんか悪いんすかぁ?」と居直られちゃうと、うーんと言葉に詰まるのも事実だ。

前に書評したことがあるけど、第1次トランプ~バイデン政権期のアメリカを取材した青山直篤氏(著書は2022年10月刊)は、米大統領選に向けた集会もまた、ある種の巡回サーカスになっていることを指摘している。

集会では、トランプの登場直前に映画「パットン大戦車軍団」〔1970年〕が映し出された。第2次世界大戦で米軍を率いたジョージ・パットン将軍が、ノルマンディー上陸作戦を前に将兵を鼓舞するシーンだ。「アメリカ人は闘争を愛する。勝者を愛し、敗者を許さない」。 (中 略) 農村地帯でのトランプの集会はいつも、日本の夏祭りのような雰囲気だ。普段は閑散としているのであろう野外会場に、ワゴンの出店が並び、人々は何時間も前から開場を待つ。トランプが現れると、虚実がないまぜの「ショー」が始まり、静かな田舎町はその数時間、喧騒と興奮に包まれる。