『Opta』によれば、スポルティングは2023/24シーズン最も多くの「ダイレクトアタック(自陣のすぐ内側で始まり相手ゴールに向かって50%以上進み、シュートまたは相手エリア内で少なくともタッチがあったプレー)」を行ったチームでもある。

シティ戦を見ても、FWヴィクトル・ギェケレシュを中心としたスポルティングの少ない手数による攻撃の破壊力は明らかだった。ボールを持って戦うことも、持たれても戦うこともできる柔軟性があるということである。

守田英正 写真:Getty Images

シティ戦は前後半で大きな変化があった試合だった。前述したように、前半はシティが気持ちよくプレーできていた。大きな勝因は中盤において、有利な状況を作れていたことである。おなじみの【3-1-5-1】のシティに対して、スポルティングは【5-2-3】の形で守備に入った。

前線の3人を相手の3バックに当てるスポルティングにとって問題はその後ろにあった。2ボランチのMF守田英正とMFモルテン・ヒュルマンドは、それぞれ左右にDFリコ・ルイス、MFフィル・フォーデン、MFベルナルド・シウバを抱え、眼前にはMFマテオ・コバチッチがいた。

CBにプレスをかける前はギェケレシュが背中でコバチッチを消しているが、一旦プレスに出てしまうとコバチッチはフリーになってしまう。試合中の解説でも言及されていたが、守田とヒュルマンドは事実上4対2の状態であり、中盤で常に問題を抱えていた。

では後半なにが変わったのか。スポルティングは【5-2-3】の守備から、【5-3-2(5-3-1-1)】の守備に変更する。大きな問題点だった中盤の4人の対処が変わる。守田とヒュルマンドに加え、ウイングのうち1人が中盤に下がり、残ったもう1人のウイングがコバチッチを見るようになった。これで4対2だった状況が4対4になったわけである。前半行えていた3バックに対する3トップへのプレスと引き換えによるものだった。