モチベーターとして高いレベルにあると評価されるアモリム監督だが、一方で高いレベルの一貫した戦術を持っていることでも評価されている。それが【3-4-3(3-4-2-1)】によるポゼッション重視の攻撃的スタイルだ。
現に今シーズン、スポルティングはリーグ内で最も高いポゼッション、最も多い得点、そして最も多くシュートを放っている。さらに『Opta』によると、2023/24シーズンのスポルティングはリーグ内で最も多くの「ビルドアップによる攻撃(10本以上のパスをつなぎ、シュートまたは相手エリア内で少なくともタッチがあったプレー)」を行っていたチームでもある。
フォーメーションで見ると【3-4-2-1】の両ウィングバックが幅を確保し、3トップの両翼は内側に入り、ストライカーの近くでプレーすることになる。ビルドアップに関しては、疑似カウンターやセンターバックが一列上がってのミッドフィールダー化など相手によって手段を変えつつ行う。
勝利したCLシティ戦での柔軟な対応
一方で、重要なのは、アモリム監督はポゼッションに執着する監督ではないということである。また、もう1つのポイントは相手によって柔軟に戦い方を変えられる点にある。11月6日のCLマンチェスター・シティ戦(4-1)でも、非保持の戦い方から、そして相手の戦術への対応から見て取れた。
ポルトガルリーグで最もボールを持つことができるチームであっても、シティ相手に同じことができるわけではなかった。では、手も足も出なかったかというとそうでもなかった。特に前半はシティが思うようにプレーしていたが、スポルティングは攻め続けられる中でも鋭いカウンターアタックにより勝ち筋を見出した。スタッツを見ると、シティが73%もの保持率を記録しながらも、枠内シュートの数は両チームとも同じ6本。スポルティングがいかに効率的にチャンスを作っていたかが分かる。