特筆すべきことに、この期間中にリーグ戦でポルト、スポルティング、ベンフィカという国内の3強すべてに勝利している。さらに、カップ戦でも、準決勝でスポルティング、決勝でポルトを破り、就任僅か1か月で最初のトロフィーを獲得した。また、ブラガにとって、ポルトのホームでの勝利は15年ぶり、ベンフィカのホームでの勝利は65年ぶりだった。
そんな記録を残したアモリム監督は、トップレベルでの監督歴が僅か4カ月ながら、国内の強豪クラブ、スポルティングに引き抜かれることになる。いかに好成績を残していたとしても、トップでの経験が僅か4ヶ月の人物を新監督とするのは大きなリスクを伴う。それでも、スポルティングが違約金の支払いに踏み切ったのは、当時長らくタイトルに見放され、また資本導入の失敗などもあり、瀬戸際に立たされていたからであった。つまり、新進気鋭の若手監督の引き抜きはクラブ再建にとって最後の手段であったらしい。
当時監督の移籍金として歴代3番目、クラブとしても選手を含め歴代2位の移籍金だった。実は、アモリム監督の違約金は、現在ユナイテッドのキャプテンであるブルーノ・フェルナンデスがサンプドリアからスポルティングに移籍した際よりも高額である。
そして結果的に誰もがスポルティングの判断を認めざるを得なくなる。途中就任した翌2020/21シーズン、スポルティングは最終節の前節のベンフィカ戦(3-4)を除いて、無敗で優勝を飾った。19年間リーグタイトルを取ることができていなかったチームに、アモリム監督は就任して1年と数カ月でそのタイトルをもたらしたのである。
2021/22シーズン(2位)、2022/23シーズン(4位)はリーグタイトルに届かなかったものの、2023/24シーズンは2位ベンフィカと10ポイント差を付けての優勝を成し遂げた。そして、今2024/25シーズンはここまで10戦全勝で首位につけている。結果的に4年間で2度のタイトルをもたらし、スポルティングを見事に復活させた。