リーグ戦初勝利は第6節の湘南ベルマーレ戦だったが、とにかく負けないサッカーで積み上げた引き分けの数は、35節終了時点で実に「12」。得失点差も「+1」という堅実さだ。序盤は、大量得点したかと思ったら次戦には大量失点するなど粗の目立つチームだったが、中盤以降はロースコアゲームをモノにするしぶとさを身に着けていく。
JFLの富士通川崎(1996)から、FC東京(2008-10、2016)、ヴァンフォーレ甲府(2012-14)、サンフレッチェ広島(2018-21)と、Jでの指導経験も豊富な城福浩監督に導かれ、有望な若手を中心に試合を追う毎に成長していった東京V。有力選手が引き抜きに遭う可能性もあるが、充実した下部組織から新たな才能が出てくるのがこのクラブの特長でもある。そして、その特長を生かす指揮官の続投こそが、東京V最大の“補強”といってもいいだろう。
町田ゼルビア:黒田剛監督
評価:★★★★★/続投可能性:100%
町田ゼルビアが今季最大のサプライズを起こしたクラブであることに異論はないだろう。黒田剛監督は明確なゲームプランを持ち、それを選手に遂行させる能力はJ1随一だ。終盤に息切れしたものの、中盤戦までは首位を独走し、Jリーグ初の「J1初昇格即初優勝」という夢をサポーターに示した。
その言動によって、“嫌われキャラ”が定着してしまったきらいがあるものの、サッカーに対するビジョンと、選手の能力を発揮させる手腕は特筆に値する。
11月8日、来季続投が発表された。不安要素としては、J2時代から右腕として黒田監督をサポートしてきた金明輝ヘッドコーチに福岡の次期監督オファーが届き、「就任は決定的」とも報じられていることだ。仮に金ヘッドが流出となれば、Jでの経験のあるヘッドコーチを新たに招聘する必要に迫られる。