これは何のことか?

弊ブログで9月24日時点で指摘した、この喧騒の「もう一人の犯人」、消費者庁の指針と指針の解釈のことです。

公益通報者保護法11条2項の義務は、内部通報に関してのものであるとしか解釈できないもので、それは法改正に携わった弁護士らが書いた解説書や、消費者庁による法11条2項に関する指針とその解説の議論の当初の認識ではそうなっていました。

消費者庁の議論では当初「※指針の対象となる通報は「事業者内部」への「公益通報」に限られており、その他の通報は本指針の対象とはならない」と明記されていました。

それが、第4回の報告書案の段階になって、「内部公益通報に限定されるものではない」という事が脚注に書かれるようになりました。なぜこのように方針が大きく変わったのか?については、議事要旨を見てもよくわかりません。

当該部分は、事業者に義務を負わせる規制項目であり、内閣総理大臣が報告の徴収並びに助言、指導及び勧告を求めることができ、違反があると認めるときは事業者名の公表までできるものです。

「事業者」とは、兵庫県斎藤知事の事案では県ですが、民間人の中小企業も該当するものです。公益通報制度が複雑であることにより企業に過剰な負担が発生していることを大企業のコンプライアス部局ですら訴えています。

そのような部分を、国民代表たる立法府の国会議員によって可決成立した法律を超えて、ごく一部の者らによる閉じた空間での議論で捻じ曲げる運用に決めてしまってよいわけがありません。

「国会軽視」と言われることがありますが、まさにそうした非難が妥当する話です。

「真実相当性」に焦点を当てるマスメディアのアジェンダセッティングに引きずられた言論空間

以上の話は、「真実相当性」は関係ありません。

公益通報者保護法2条の話が中心であり*8、3条2号・3号の話ではありません。文書が届いたその時点での判断基底・判断資料により評価可能な事柄です。