ソ連の都市伝説3
ブラックヴォルガ
最初の伝説は1950年から60年代にかけて流布したもので、スターリンの側近であったラヴレンチー・ベリヤが黒い車でモスクワ中を走り回り、魅力的な少女や女性を探しては車に連れ込んでいたという噂だ。実際にベリヤは性的に倒錯した人物で100人以上の女性が彼に性的暴行をされていた証拠が発見されつつある。
それから、神父、ユダヤ人、外国人、あるいはKGBの幹部が運転する黒いヴォルガが、子供を誘拐して血を抜き、「特別な容器に入れて外国に送った」という都市伝説が生まれていった。この話はなぜかポーランドで非常に人気を博したが、ソ連では広がらなかったという。
この都市伝説のヴァリエーションとして最も有名なのが「ブラックヴォルガ」だ。黒い車が子供たちを誘拐するという話なのだが、誰が車を運転していたかは語られず、子どもたちを誘拐したのかも、この誘拐のあと彼らがどこにいたのかも、何も語られないという不思議な話なのである。
この話は1970-1980年代に子供たちの間で語られたが、国家からの暴力に対する大人の恐怖を表現していたと考えられている。