このことから、食べ物の好き嫌いには遺伝子の影響が強いと結論づけられました。
つまり、好き嫌いは単なる「わがまま」や「気まぐれ」ではなく、生まれ持った遺伝子によって強く影響されていることが示唆されています。
親が子どもに新しい食べ物を勧めても、子ども自身の遺伝的な特性が食べ物の選好に影響を与えるため、ある程度の限界が存在します。
そのため、好き嫌いを「治す」ことが難しい場合があることも理解できますね。
ただし、好き嫌いは遺伝的要因だけが全てではありません。
特に幼少期においては、家族で食卓を囲む習慣や、さまざまな食材に触れる機会など、家庭環境が食の好みに与える影響も強く働きます。
しかし、こうした環境要因の影響は年齢とともに徐々に薄れていきます。
そのため、好き嫌いを克服するためには、幼少期に新しい食材に触れる機会を多く持つことが重要です。
この時期に新しい食品に慣れることで、成長過程における好き嫌いの軽減が期待できます。
一方で、子どものころ苦手だった食べ物が、大人になると自然と食べられるようになった経験はありませんか?
これはどういう要因から起きるのでしょうか。
子どもの頃は苦手だった味、大人になると平気になる理由
年齢を重ねると、子どもの頃に苦手だった味が平気になることがあります。
年齢とともに、私たちの味覚や嗅覚にはどのような変化が起こるのでしょうか。
味覚が変化する理由として、味覚受容体の変化が考えられます。
成長とともに味覚受容体の密度や機能に変化が生じ、その結果として味に対する敏感さが低下することがわかっています。
「味覚受容体」とは、舌の表面に存在する小さなセンサーで、甘味、塩味、酸味、苦味、そしてうま味といった味を感じる役割を果たします。