例えば、電池Bが10単位のエルゴトロピーを失った場合でも、機械Cが15単位のエルゴトロピーを得る「利得」が発生します。
このような利得が発生するのは、量子力学的な効果により、機械Cの内部エネルギーを仕事として利用不可能な状態から、仕事として利用可能なエルゴトロピーへと変換しているからと言えるでしょう。
量子的相関を量子電池と機械の間で結ぶことにより、限界を超えたエネルギーの効率化が実現するのです。
研究者たちは「量子電池にとって相関関係をはじめとした情報は非常に貴重なリソースになると」述べています。
また今後は、どのような量子的相関関係が最も効率的であるかも調べていくとのこと。
かつては「充電量を超えるエネルギーを放出する」と言うと、トンデモ科学のような扱いを受けていましたが、量子力学の進歩により一概に嘘とは言えなくなっているのは驚きです。
もし将来的に量子電池が専用デバイスと共に普及すれば、充電量を超えるエネルギーを供給できることが、ある種の品質保証になるかもしれません。
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元論文
Correlations enable lossless ergotropy transport
https://doi.org/10.48550/arXiv.2406.10468
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部