量子電池の奇妙な特性が明らかになりました。
ドイツのポツダム大学(UP)で行われた研究により、量子電池とそれを使う機械の両方で量子状態を共有すると、電池が失うよりも多くのエネルギーを機械が得られる可能性が示されました。
この仕組みを応用することができれば、通常の電池とは桁違いに効率的な電力供給が可能となるでしょう。
しかし、電池はそもそも蓄えたエネルギーを失うことで仕事をこなすはずです。
なのにどうして失うよりも大きなエネルギーが供給できるのでしょうか?
研究内容の詳細はプレプリントサーバーである『arXiv』にて公開されています。
目次
- 量子電池は失うより多くのエネルギーを供給できる
- 量子電池が「お得」な理由
量子電池は失うより多くのエネルギーを供給できる
電池は仕事量を蓄え必要に応じて放出する、それが唯一の機能です。
そのため通常の電池と同じように仕事量を蓄えられる量子システムは、量子電池と呼ぶことができます。
量子電池は現在最も盛んに研究が行われている分野であり、量子世界の不思議な挙動を利用することで、常識では考えられない挙動を行います。
たとえば2023年に東京大学が開発した量子電池は、因果律を打破して充電の重ね合わせ状態を作ることで、1つしかない充電口に別々の世界からそれぞれ充電器を突っ込んだかのような充電効率を達成しました。
東京大学が「因果を打ち破って充電」する量子電池を発表
このように量子電池がかかわる研究は、極めてエキセントリックな結果をもたらしてくれます。
ただ既存の研究は量子電池の充電や安定性に重きを置いており、量子電池からの出力についてはあまり研究が進んでいませんでした。
そこで今回ポツダム大学の研究者たちは、未来の世界を見据えて、量子電池が量子的システムを備えた機械に対して使われたときに、何が起こるかを数学的手法やシミュレーションを用いて確かめることにしました。