午後8時頃になって、筆者の携帯にも緊急通報ということで強烈な音を伴った警報を受信したが、時既に遅しであった。バレンシア市外の多くの衛星都市で水の氾濫が始まったのは午後5時頃からで、水高が4メートルに及んだところもあった。
筆者が住んでいる町は川の水高が増しても氾濫しないだけ土地が高いので僅かに洪水が発生しただけである。しかし、当町から6キロ離れたアルヘメシー市では氾濫した水が中心街にまで及び、商店など甚大な被害を受けている。
今回の洪水で最大規模の被害を受けたパイポルタ市では1階にあった住宅、商店、工房などは壊滅した。復興までに相当の期間が必要である。大半の住民の車も流されている。そして死者は現在まで既に60人が確認されている。もう立ち直れない企業も出て来るはずだ。同市の経済は完全に崩壊した状態がこれから長く続くことになるであろう。