同年5月1日、彼の研究の根城でもあったグーグル社を離れたことをツイッターで公表した。
「グーグルを批判するためと報じられているようだが、そうではない。AIの危険性について公正に語るためだ。AIについて同社はむしろ責任を全うしてきたと考える」
In the NYT today, Cade Metz implies that I left Google so that I could criticize Google. Actually, I left so that I could talk about the dangers of AI without considering how this impacts Google. Google has acted very responsibly.
— Geoffrey Hinton (@geoffreyhinton) May 1, 2023
日本のNHKによる単独インタビューをはじめ、その後彼はいろいろなマスメディアで発言を行っている。私なりに要約すると「グーグルやアップルなどの市場競争が、AIの明日、それも危険性についてむしろ目を逸らさせてしまってはいないか」というところだろうか。
事実、今年(2024年)10月、ノーベル賞の授与が公表された直後の記者会見で「私が誇りに思っているのは、教え子のひとりがサム・アルトマンを解雇したことです」と大胆発言がとびだした。
サミュエル・アルトマン。OpenAI社の若きドンだ。同社所属のひとりがAIの危険性を指摘したある論文に、彼が不快の念を表したとして、それが社内の研究者たちから「うちの親分はわかっていない」と受け取られて、取締役会によって同社から一度は追放された。わずか5日でこのクーデターはとん挫。11月22日、彼がCEOに復帰することが公表された。
エネルギーとエントロピーの饗宴は、次に何をもたらすのか今年(2024年)のノーベル物理学賞が、現代のAIの基礎理論に送られる理由が、なんとなく見えてこないだろうか。