――そこは、あやふやにしておいて、あとは個々のイマジネーションに委ねるということですね。
川上 そうです。ディープステートっていうひとつの単語を言っておけば、あとは支持者たちが「多分あれのことだ」「いや、これのことだ」と勝手に解釈してくれます。
「ディープステート論」に関する部分では、彼自身の信念として語っているのではない様子なので、サイゾーの記事を引用した玉木氏の批判は的を外したものと言えます。
ただ、その前の部分や続きの部分などをみると、川上氏は全体的にトランプ氏の言説を称賛する立場だと言えるので、「ディープステート」の部分も肯定的に捉えているとみられるのはある程度は仕方がないのかもしれません。
川上 そう、トランプ氏の感覚は非常に鋭い。2020年の大統領選挙で彼は「バイデンが大統領になったら、彼は戦争を始める!」と言い放ったのですが、「さすがだな」と思いました。というのも、実際にバイデン氏はロシアを引き込むために、ウクライナ侵攻を許してしまいました。パレスチナ・イスラエル戦争のベンヤミン・ネタニヤフ首相のケースは少し複雑ですが、結局アメリカはイスラエルを応援しています。そのため、あのときのトランプ氏の発言は正しかったのです。
トランプが「バイデンが大統領になったら彼は戦争を始める」と言ったことを受けてロシアのウクライナ侵略とパレスチナ・イスラエル戦争に関して「あのときのトランプの発言は正しかった」と言っているのですから、川上氏は「バイデンが戦争を始めた」と言っていると同義でしょう。
そして、この記事における川上氏の最大の問題は、次項の点だと思うのです…
「合衆国憲法に抵抗権・革命権が記載」の衝撃:事実と憲法解釈論の陰謀論川上 実はあのとき、もし議会を占拠して革命政権を樹立させていれば、トランプ政権はできていたのですよ。というのも、合衆国憲法には「抵抗権(革命権)」が記載されているからです。そのため、当時の私は「ついに、革命が起きたのか」と思いながら見ていましたが、人数が足りなかったのと、手際も悪かったので、どのみち無理だったでしょう。 ――確かに、アメリカ合衆国の独立宣言には、そのような文言も盛り込まれていますが……。ということは、もし、あのときトランプ氏が先陣を切っていれば、革命は成功したかもしれないのでしょうか? 川上 いえ、当時のトランプ氏はSNSで煽動するのが精一杯で、それ以上の動きはできませんでした。ただ、議会を占拠して入念に準備をして、「我々は新しい国を作るんだ! 南北戦争の中にあって我らは北軍なんだ!」と独立宣言をすれば、成立していた可能性もあります。