「因果情報」とは、ある結果がどのような要因から生じるのかについての情報です。たとえば「運動不足が体重増加につながる」といった情報がこれに該当します。

これは一見、判断材料として精度を上げるために役立つ情報に思えます。

しかし、もともと知識を持っている場合、この因果情報に、過去の自分の知識との矛盾する部分や異なる情報があると、自己の知識への確信が低下してしまうのです。

私たちには自分が過去に学んだ知識や経験を基にした判断のための認知モデル(メンタルモデル)というものがあります。

そこに追加の情報を得た場合、私たちはこのメンタルモデルに沿うよう、情報の更新を行います。

しかし、ここで自分のメンタルモデルと新しい情報に食い違いが生じてくると、自身の判断が正しいのかどうか疑心暗鬼になってしまうのです。

本来であれば、経験したことがある事柄は考える時間を要せず即時に判断ができます。

しかしそこに追加の情報が与えられることで、正しいにも関わらず、考えすぎで間違った別の選択肢を選ぶように、判断を誤る可能性が高くなるのです。

知識はどんどん拡張させ、更新していくことは正しい判断の精度を上げるために大切だと考える人は多いでしょう。

しかし、追加情報は諸刃の剣になってしまう場合があるようです。

読者の中にも、似たような商品が並ぶ通販サイトでどの商品を選ぶのが最適かネットで調べまくったことがある人は多いでしょう。

そのとき、これにしようと思った商品に否定的なレビューが出てきたりすると、じゃあやっぱり違うのにしよう、などとだんだん自分の判断への確信が低下してしまいがちです。

そして、悩んだ挙げ句、最終的に買った商品はあまり品質の良いものではなかったなんて経験があるのではないでしょうか?

情報の過多は逆に判断を誤らせる原因になるようです。

情報はほどほどに抑えて判断した方が、良い結果に結びつくのかもしれません。