湿度30%と70%では、4.6倍の差が生じており、高湿なトイレではエアロゾルが発生・拡散しやすい状態にあることも分かりました。
例えば東京では、1日の平均湿度が70%を越える日が、1年で約200日もあるため、ウイルス感染の面で一層注意が必要です。
では、便座を閉めていれば、どんな場合でも安全なのでしょうか。実はそうでもないようです。
フタを閉めて水を流しても壁や便座裏にはウイルスが付着している
研究チームは、フタの開閉によってエアロゾル発生にどのような違いが生じるのか、粒径1 μmのエアロゾルの空間分布の測定結果を図で示しました。
当然ながら、フタを閉めることで上方へのエアロゾル発生・拡散は無くなります。
しかし、使用者側に15cmほどの距離までエアロゾルが噴出することが分かりました。
これは、フタと便器の隙間から水流によって便器内の空気が押し出されることによって生じると考えられます。
この結果からすると、フタを閉めて水を流す時には、少なくとも便器から15cm以上離れるべきだと分かります。
そうしなければ、自分の足が、汚水やウイルスを含んだエアロゾルを浴びてしまうことになるでしょう。
また別の実験では模擬ウイルス試料を使用し、フタを閉めた状態で水を流した時に、便器や個室内に付着するウイルスを定量化しました。
その結果、便器内に排出されたウイルスは、便器の外にも排出され、様々な場所に付着すると分かりました。
例えば個室内の壁には33%ものウイルスが付着しており、不用意に壁を触るべきではありません。
壁際にある「小物を置くための棚」には、スマホなどを置いてしまいがちですが、そうすることでウイルスがいくらか付着する恐れがあります。