新しい変数の発見や認識は、人類の科学進歩に不可欠なものと言えるでしょう。
しかし、これまで人類によって発見されてきた変数やそれを用いた方程式は、基本的に人類の認知能力に依存して作成されたものであり、唯一無二と言えるかは微妙です。
この宇宙に現在の人類の知識では認知できないような「変数」が隠れて存在している場合、ありふれた運動方程式すら全く知らない「裏の顔」を持っている可能性があるからです。
そこでコロンビア大学の研究者たちは2022年に、AI(人工知能)に対して、事前の知識なしにさまざまな物体の運動を使って物理法則を学習させ、その物理法則を説明する最小限の「変数」の数を調べることにしました。
調査にあたってはまず上のような、二重振り子運動を含め、すでに知られている物理運動をAIに観察してもらいました。
二重振り子では、2本の腕が連結され、上の腕と下の腕には連結部がもうけられます。
これまでの知識では、二重振り子運動は上腕と下腕の角度や角速度など4個の変数を持つことが知られています。
しかしAIに運動法則を学習させたところ「4.7個」と微妙に異なる結果が得られました。
人類側が用意した模範解答「4」とは異なる答えです。
しかし上の動画でもわかるように、AIはこの「4.7個」の変数を用いた物理法則を利用して、二重振り子運動をほぼ現実と同じようにシミュレートすることができました。