ですが、より興味深い結果は人類がまだ知らない運動法則を学習させることで明らかになりました。

未知の運動でもAIは変数を認識できた

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左:空気で踊る人形型チューブ、真ん中:ゴムボールを浮かべたラバーライト、右:炎 / Credit:Columbia University . Columbia Engineering Roboticists Discover Alternative Physics

未知の運動にAIはどんな法則を見出したのか?

答えを得るため、研究者たちは上の図のような「空気圧で踊る人形」「ラバーライト」「炎の揺らめき」など、人類がまだ知らない(気にも留めなかった)運動法則をAIに学習させ、変数を求めさせました。

結果、AIは「空気圧で踊る人形」には約8個、「ラバーライト」にも約8個、そして「炎の揺らめき」には約24個の変数を使った法則を見出していることが判明します。

またAIが構築した法則を用いてそれぞれの運動をシミュレートしたところ、かなり正確な予測が得られることが判明します。

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AIが認識する変数をもとにシミュレートされた炎は現実と同じような挙動をみせる / Credit:Columbia University . Columbia Engineering Roboticists Discover Alternative Physics

たとえば上の図では、AIの認識した変数を使って、現実の炎の揺らめきによく似た動きを辿れることを示しています。

この結果は、AIが認識した変数が決していい加減なものではなく、現実の物理現象を高い精度で再現できる意味のある数値である可能性を示します。

また既知の運動においてAIが予測した変数は人類の知る変数の個数と近似していることから、「空気圧で踊る人形」「ラバーライト」「炎の揺らめき」の運動法則の変数も、人類が認識できる変数の数に近いと推測されます。

ではAIの認識した変数が本当に意味のあるものならば、人類にとってどんな恩恵があるのでしょうか?