このアプローチは、現場の管理者が自らの責任で現場を運営するという意識を高め、現場の自主性や責任感を強化する効果を意図したものである。
トップが現場で直接介入することを避けることで、現場のメンバーは管理者からの指導や指示に集中でき、また、上司の介入によるプレッシャーや混乱を防ぐことができる。さらに、現場の監督官が自らの判断で状況に対応し、問題解決を図る能力が養われるため、組織全体の管理能力向上を期待する。
一方で、トップは別の場で得られた情報を基に責任者と対話し、フィードバックを提供し気づきの共有をしつつ、管理者が主体的に改善策を講じることを促進する。このプロセスは、組織内のコミュニケーションを円滑にし、現場の改善活動を効果的に進めるための重要なステップとなる。
0次情報の収集においては、上司が現場で観察を行う際に、あくまで管理責任を現場の監督官に委ねることが重要であり、フィードバックは別の場で行うという原則が、組織運営の効果を高める鍵となる。
おわりに:階層型組織をアップデートせよ集団が効率的に目標達成すべく発明された階層型組織は岐路に立たされている。明確な責任と役割分担(決定と実行の分離)、効率的な意思決定プロセス、専門化と分業といったたくさんのメリットを享受してきた。
しかし、環境変化の性質やスピードの急激な変化に伴い、ここで見てきた様々な不正や不祥事からして情報の流通不全や管理統制の限界を露呈している。制度面法律面からの打開策も講じられてきたが抜本的な解決には至っていない。ティールやホラクラシーといった組織構造自体を変更する意思決定も今後増えていくだろう。
当社では、ソフト面からマネジメントのあり方を進化させることで階層型組織の弱点を階層型組織のまま解決する方法を模索、研究し、環境変化対応の先鋒としてこれからも経営者・管理者向けに最新のメソッドを提案していきたい。
ここで紹介した、0次情報や観察のススメは即時実践できるノウハウであり、我々がコンサルティングや事業再生の現場で臨床的に獲得した知見である。ぜひ、有用性を確かめて頂きたい。