スピーチの要素である「コンテンツ」と「デリバリー」

ーーーでは、実際にスピーチトレーナーとしてどのようなことを教えているのでしょうか。

話し方を大きく2つに分解してレッスンを行います。1つ目は「コンテンツ」、つまり話す内容のことです。さらにわかりやすく伝えるために文章の並べ替えを提案したり、さらに詳しく伝えるために情報比率を変える提案をしたりします。

2つ目は、「デリバリー」です。デリバリーとは音声や動作の工夫のことで、声のトーンやテンポ、身振り手振りなど、どのように話して伝えるかという部分を指導しています。この2つを分解して学習することで、効果的に伝えられる話し方を身につけていきます。

ーーー各要素でポイントが異なるんですね。

kaekaでは、「コンテンツ」と「デリバリー」の要素をさらに細分化しています。

まず、コンテンツには4つの要素があります。1つ目は、話の構成や順序を整える「プロット」。2つ目は、データや事実にもとづいて自分の意見を形成する「ファクト」。3つ目は、自分の経験や感情、あるいはビジョンを言語化して伝える「ストーリー」。最後は、自分が伝えたいメッセージを核としてまとめ上げる「コア」です。

事実にもとづいた意見は得意だけれども、感情やビジョンを言語化するのが苦手な人、伝えたいことが多すぎて、プロットの整理に苦労している人などは、このフレームワークを活用すると効果が感じられやすいでしょう。

デリバリーの要素は、「音声情報」と「動作」の2つです。音声情報では、声の大きさ、速さ、高さといった要素を、動作ではジェスチャーや表情などを扱います。これらのポイントは、スピーチだけでなく、雑談や会議、プレゼンなど、幅広い場面で役立つものです。

ーーー「デリバリー」において、動作という話がありましたが、ちょっとした動きでも伝わり方は変わりますか?

印象は大きく変化しますね。例えば、内容自体が良くても、話しているときに体がずっと揺れていたり、肩をすくめたような姿勢で話していたりすると、自信がないように受け取られてしまうかもしれません。