石を舐める……そんなこと、普通の人はあまりしないですよね。
でも、実は地質学者にとっては、これが重要な作業の一つなのです。
今回は、地質学者がなぜ石を舐めるのか、どのような鉱物が危険なのかについて、科学的な理由を分かりやすく解説していきます。
目次
- 石を舐めて何が分かるの?
- 舐めてはいけない鉱物に要注意
- 地質学者の非公式ルール
石を舐めて何が分かるの?
地質学者が野外調査を行う際、多くの場合は時間が限られた状況下で鉱物を特定しなければなりません。
岩や鉱物は、それぞれ異なる特性を持っており、見た目だけでは判断しづらい場合もあります。
そこで、視覚だけでなく、味覚を使うというユニークな方法が登場するのです。
「石を舐める」という行為は、一見すると奇妙に思えるかもしれませんが、実は科学的な根拠に基づいています。
鉱物にはそれぞれ異なる化学組成があり、その組成が味に現れることがあるのです。
例えば、岩塩(NaCl)は、塩辛い味がするため、見た目が似ている石膏や方解石と簡単に区別できます。
また、地質学者はカオリナイトといった粘土鉱物を舐めることもあります。
粘土性の鉱物は、舌にくっつく触感を持っており、その粘着性を感じ取ることで特定できるのです。
他にも、シルト岩(粘土サイズより大きい粒子を含む)と頁岩(粘土サイズの粒子を含む)の違いも舐めることでわかります。
シルト岩は、粒子が大きく、舌や歯にざらざらとした触感を与えます。
一方、頁岩は粒子が非常に小さく、滑らかな触感が特徴です。
このように、視覚だけでなく触感も重要な要素となるのです。
鉱物の表面を舐めることは、単に味や触覚を試すだけではありません。
湿らせることで、石の色や光沢が際立ち、観察しやすくなるのです。
乾燥した岩石の表面は、色がくすんで見えたり、光沢が分かりにくくなったりしますが、少し湿らせるとその特徴が鮮明になります。