カオスは日本語では混沌と訳されます。
この言葉自体はしばしばネットスラング的に意味不明であったり、めちゃくちゃで理解できないさまを指して使われたりもします。
ところで皆さんは、科学的なカオス現象の特性や持つ意味までご存知でしょうか?
実は、この現象は天気予報など私達の身近な生活と密接な関係を持っているのです。
この記事では何が起こるかを予測できない複雑さを持つ、カオス現象について解説します。
目次
- カオス現象は、なぜ「予測できない」のか
- バタフライ効果と天気予報
- パイを作るとカオスが現れる?
カオス現象は、なぜ「予測できない」のか
カオス現象とは、一言で表せば「何が起こるか予測できない」現象です。
この部分を、科学史と共にもう少し具体的に紐解いていきます。
1687年にアイザック・ニュートンは著書『自然哲学の数学的諸原理』において運動の第2法則を発表しました。
運動の第2法則は以下のような主張でした。
- 物体の運動状態の時間変化が、物体に作用する力に比例する
- 物体の運動状態の時間変化が、物体に作用する方向と同じになる
この法則からニュートンの運動方程式が導かれるため、高校で物理を習った人は、$$m\boldsymbol{a}=\boldsymbol{F}$$という式の形でこの法則を知っているかもしれません。
この運動方程式の出現によって斜面を転がる石や空から降ってくる雨などの自然現象、さらには天体の動きまでも説明できるようになりました。
もはや運動方程式によって、この世の全てが説明できるのではないかとさえ思えてしまうかもしれません。
実際こうした中、「一番最初の状態とそれが時間の変化でどのように変わるかを記述する法則さえ得られれば、あらゆる未来の状態が予測できる」という考え方が現れました。
これを決定論と言います。