もちろんノーマルから変更する以上、メリットがあるからにはデメリットもあります。てこの比率を変えることで、クラッチレバーの「動きしろ」が変わってしまうんですね。クラッチはフリーの部分>半クラッチ>つながる部分とおおまかに3段階に分かれるわけですが、クラッチをてこによって軽くするとこの半クラッチの部分が長く間延びしてしまうのです。いわば、クラッチの「キレ」が少しずつ失われていくわけで、クラッチレバーの「軽さ」と「キレ」はトレードオフの関係にあると言えるでしょう。

ZETA RACING
ウルトラライトクラッチパーチ
ZE43-5001
¥10,780(¥9,800)
※ミラーホール付き(ZE43-5011)は¥12,100(¥11,000)

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最弱はかなり扱いづらい

というわけで、実際このウルトラライトクラッチパーチを使うことで、どんなセッティング幅があるのかをお伝えしたいと思います。このタイコホルダーがミソで、タイコホルダーの取り付け方によって軽さとキレが変わる仕組みです。

4段階のセッティングができるようになっているので、好みの位置を探ってみましょう。

おおよそ普通のバイクは、この表のようにレバー比2.7〜3.7くらいで収まっているのですが、それをさらに4.5まで動かせてしまうという優れものですね。レバー自体の精度が高いので、このパーチを取り付けるだけでもだいぶ軽い握り心地になります。「ほんの少し軽くしたい」という人であれば、①で十分かもしれません。

まずはものは試しということでレバー比4.5の④でいってみましょう! 握ってみると、あれだけ重く感じたYZ450FXのクラッチレバーが相当軽くなっていることがすぐにわかります。これは期待大ですね。言うなれば、125ccくらいの小型トレールバイクのような軽さです!! ですが、走ってみるとこれはやりすぎ感が否めませんでした……。キレがなくなるというのは、こういうことなのか、と。主に気になったのは、半クラッチからのリリースです。自分でもあまり気づいていなかったことなのですが、どうやら半クラッチから一気にクラッチを繋いで立ち上がりの急峻なパワーを使うことが多いようなのです。これが、キレが極端に悪くなるとパワーがぱっとつながってくれず、加速のタイミングが鈍くなってしまう。タイムにはあらわれない些細なものなのですが、なにより気持ちいい450ccの加速が鈍ってしまうのが気になります。ただ、ホントにすごく軽くなるので、軽さ重視の人はこれで満足するはず。