似たような結果は知能にかかわる分野でも見られます。
これまでの研究によって、記憶力が高い人は数学・言語能力が高い傾向があることが知られています。
そのため知能にかかわる分野の才能には「g」と呼ばれる基礎となる因子が存在しており、各分野の能力は「g」に加算される形で存在していると考えられています。
(※「o」は基礎となる知能因子「g」をリスペクトする形で名付けられたという経緯があります)
また「g」の値は「IQ」と高度に相関(相関係数0.79)していることも知られています。
そうなると気になるのが知能と物体認識能力の関係です。
「g」や「o」はそれぞれの分野に属する能力の基礎となりますが、「IQ」と「o」の2つには何らかの相関関係があるのでしょうか?
頭の良さと物体認識能力は関係ない
「知能の高さ(IQ)は物体認識能力(o)の高さと相関関係にあるのか?」
この謎を解明するために行われたある研究では、IQや学力は、新規の物体を認識する能力には関連しないことが判明しました。
また物体認識能力の基礎「o」と知能の基礎「g」を比較した研究でも、両者が無関係であることが示されました。
この結果は知能や学力が優れていたとしても、基礎となる物体認識能力「o」が優れているとは限らないことを意味します。
そのため研究者たちは「知能や学力が高い学生を医学部に入れて医者としての訓練を行ったとしても、X線画像から腫瘍を見つけるために必要な物体認識能力までもが保障されているわけではない」と述べています。
極端な例を挙げるとすると、医者として最高の知識と技術を持っていても基礎となる物体認識能力「o」が悲惨な数値の場合、腫瘍を見逃し続けるヤブ医者になる可能性があるかもしれないのです。